第4章 新たな始まり編
『――私に話しかけるんじゃない。怪しまれるだろう』
絞り出すような苦渋の声質は、まるでどこかで自分を見ているようだった。
「誰!? ねえ、あなたは私を知ってるの? どうして名前知ってたの?」
『ふふ⋯⋯私はお前の守護者だ。案ずるな⋯⋯とにかく、声を抑えろ。わかったな』
「わかった。静かにするから、教えてよっ」
小声でベッドの布団にもぐりこみ、あなたは会話をしようと試みた。
しかし、一方的にこう言われる。
『ルドガーにはこの事を話すな。言いつけを守るのだぞ』
守護者と名乗った大人の声の女は、それだけ告げると消えてしまった。
「えっ? どうして? ちょっと!! ⋯⋯はあ、なんでよ⋯⋯」
なぜ彼のことを知っているのか。
やはり彼女は、どこからか自分たちのことを見ているのでは?
そのぐらい、強大な存在なんだろうか。
「守護者ってことは、守ってくれてるってことだよね?」
もしそうなら、姿を見せてくれてもいいのに。
残念がるあなたのもとに、突然扉が大きな音で開かれる。
驚いて飛び起きると、そこには仕事帰りのルドガーが立っていた。
あなたを見つめ、怪訝な表情をしている。
「何をしている? 」
「あ⋯⋯! おかえり、なんでもないよ!」
布団から這い出て、彼に駆け寄った。
抱きつく体をひょいと持ち上げられて、片手で抱えられた。
ルドガーの凛々しい黒い眉が、きゅっと寄せられて、あなたをもどかしげに見つめている。
「警護の者から聞いた。お前が最近ひとりで喋っていると。⋯⋯それに、部屋でおかしなメモも見つけた。いったい何が起こっている?」
彼はあなたに優しく尋ねる。
一方でこちらの鼓動は跳ね上がり、言葉に詰まった。