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巨体の人外に助けられて世話される話

第4章 新たな始まり編


「なに今の⋯⋯とうとう私、幻聴が聞こえるようになったのかな?」

ひとりで小屋で過ごす時間が長く、おかしくなったのかもしれない。

声は止まり、あなたは腕を心細そうに組んで考え込んだ。

部屋を行ったり来たりして、さっきの言葉を紙に書いてみることにした。

「来訪客の男⋯⋯の言うことを聞くな、みたいな内容だったよね」

ここにいる間、本を読んだりルドガーに教えてもらったりして、簡単な読み書きは出来るようになっていた。

ここは魔界で、人間のあなたにはなぜか自然と喋ることは出来ても、すべてを理解するのは難しい。

でもなんとか声に出して読めるメモを眺めながら、頭をひねっていた。

 

この事をルドガーに言うのは、少し躊躇われた。

あれは彼の仕事仲間だったが、以前ここに男達の客がたくさん来たときに、あなたは安全のために檻に入り、大きな心配をかけてしまったのだ。

今は彼も気が張ってるだろうし、なにより自分がおかしくなったと思われたら悲しい。

「ねえルドガー、ここにお客さんって来ないよね?」
「ああ、今は来ないぞ。⋯⋯どうした? 寂しいか?」

大きなベッドで彼は裸で横たわり、その隣であなたはうつぶせになって横目で見つめている。

ルドガーはあなたの小柄な体をそっと引き寄せ、腕の中に抱えた。

彼のたくましい太い腕に包まれ、気持ちよく枕代わりにする。

「寂しくないよ。ただ気になっただけで」
「そうか⋯⋯」

彼はそれ以上何も言わなかったが、体の熱はじんわりと上昇し、あなたを深く包みこんでくれていた。




それから数日間、あなたは時々、声の主に語りかけてみることにした。

昼から夜まで、一人でいるときに部屋の中を歩き回る。

「――もう一度出てきて、お願い! 声の人!」

「訪問客って、誰なの? 教えて!」

そう何度も喋っていたら、外から扉をコンコンと叩かれた。
もしやと思い、急いで向かって鍵を外そうとする。

なんとか成功すると、そこには困惑した顔つきの魔族の軍人が立っていた。

「大丈夫ですか。何かありましたか」
「あっ、いいえ。なんでもないです。すみません」

あなたはめったに喋ることのない者に納得されたが、不審がられている。

また部屋に戻り、深い息を吐いた。

すると突然、頭の中で声が鳴り響いた。
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