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巨体の人外に助けられて世話される話

第4章 新たな始まり編


「いってらっしゃい。ルドガー」
「行ってくる。」

小屋の扉前で、あなたはルドガーの胸下に頭をうずめ、抱きしめられる。

番になった二人は、笑顔で見つめ合いながらキスをした。

するとあなたを離しがたいルドガーが、悔やむように眉を寄せる。

「すまない、。お前をまだこの小屋に住まわせていて。ゼイラン様に認められたら、すぐにでも大きな屋敷に引っ越すぞ」
「⋯⋯そうなの? 私は大丈夫だけど⋯⋯ゼイラン様になかなか会えないみたいだよね?」

首を傾げて健気に尋ねる様子は、ルドガーの胸を締めつけたようだった。

「きっともうすぐだ。あの方は忙しいからな。だが俺は一番頼りになる闘獣として仕えている。お前との婚姻も、必ず許しが出るはずだ」

確固たる自信を見せるものの、あなたにはルドガーの金の瞳が、どこか焦っているようにも思えた。

だから背伸びをして、彼の太い胴に手を回し、力の限り抱擁する。

「絶対大丈夫。時間がかかっても私は待ってるから。無事に認めてもらえたら、あなたと街を散歩するの。手を繋いでね」

なんだか、せつなさと楽しみが交差した気持ちで告げる。

するとルドガーはこれまでになく強く抱きしめ、頭を撫でてくれた。



彼が出かけてからは、いつもと同じ時間が始まる。

窓から見えるのは深緑の暗い森だけだが、彼と虎獣人の隊長セヴァの計らいで、警備の軍人がいてくれることは安心した。

「でも、やっぱり外の空気は吸いたいよねぇ」

台所で洗い物をしながら呟くものの、今はまだ夢だと息を吐いた。

そのときだった。
外から、声が聞こえてきた。ぼんやりと遠くで響くような女の声だ。

『――。気をつけるのだ』

「⋯⋯えっ? なに?」

あなたは辺りを見渡し、急いで小屋の扉に向かう。鎖はついてないが、頑丈に鍵がつけられた木扉に、耳をぴたりと添えた。

すると今度は、頭の中に直接響いてきた。

『用心せよ。来訪客の男の言うことを、聞いてはならぬ――』

「ひぃ!」

また意味不明なことを言われて、あなたはぐるりと部屋を見回した。 

だがいつもと同じ木彫りのリビングと台所、大きなベッド、温かな暖炉があるだけだ。
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