第3章 庭園にて
「うん⋯⋯さすがに嫌だよ、それは⋯⋯」
「なぜ?」
「だって番になっちゃったでしょ、もう!」
「そうだな」
彼のくすくすとした余裕のある笑いに腹が立ってきて、潤沢な青い毛の中に潜り込んだ。
「早くいつもの姿になれば? もう変なこと聞かないもん」
「聞いていいぞ。答えも教えてやる。俺は他の獣とはヤらない。愛するお前としたいだけだ。だからこうして、お前に近い姿をいつも取っている」
誠実な表明が降ってきて、条件反射のように顔を上げる。
今、愛するって言った。さっきも聞いたけど、いきなりロマンチストになっちゃったのだろうか。
あなたは動揺しながらも顔を薄っすら染め上げた。
「⋯⋯そうなの?」
「ああ。そうだぞ。好きなものとは似た形になりたいものだろう? 反対に威嚇したいときは獣になるんだが、お前には効果がないみたいだな」
「⋯⋯へへっ。全然ないよ。こっちのほうが効果あるかも⋯」
あなたはルドガーの獣の口元に、場の雰囲気隠しに唇をくっつけた。
ゆっくり離してみて、なんだか変な気分になって余計に照れてくる。
「⋯⋯お前はなんて愛しい女なんだ」
感極まった言葉が聞こえて、再び見つめ合ったときにはもう、ルドガーは黒髪に黒い角が生えた男の姿になっていた。
「わぁっ! ――んんっ」
すぐに唇を重ねられて、獣のときよりも熱い腕の中に閉じ込められる。
急にドキドキして、やはり男なんだということを感じた。
頭がのぼせてきたが、もうなすすべはなかった。
彼の番になると、約束してしまったから。