第3章 庭園にて
庭園から帰ると、あなたはすぐにベッド脇の窓辺に青い花を飾った。
見つめているだけで癒やされて、自然と笑みが出る。
ルドガーが今夜してくれたことの全部が、嬉しく感じていた。今だってそうだ。休む時間になっても、あなたのリクエストに応えて彼はまた獣化してくれた。
「あぁ〜やめられないよ。あなたの毛気持ちよすぎる。ねえこのまま寝られないの?」
「無理に決まってるだろう。ベッドが壊れるぞ」
彼は暖炉そばの床に寝転び、あなたのクッションに徹していたが、獣化を受け入れられ喜ぶ反面、早く人の形に戻りたかったようだ。
「⋯⋯このままじゃお前を抱けない。好かれたのは凄く嬉しいが、もうそろそろいいだろう?」
頭上から大きな獣の顔が鼻を優しくこすりつけてくる。
目の前には狼みたいな細い口元があり、ぱくっと頭を食べられてもおかしくない距離だ。
でも怖さをまったく感じなかった。
彼の獣の瞳はすごく優しく、動作も常に気をつけていて、声もいつにも増して柔らかいトーンだからだ。
「ふふっ。くすぐったいってば。でも確かにこのままじゃ出来ないよね。⋯⋯あれ? 待ってルドガー。あなたは獣の姿で交尾できなくてもいいの? これが本当の自分なのに」
起き上がって、あなたの丸いくりっとした瞳が問いかける。
彼は一瞬言葉に詰まった。質問の意図を考える必要があったためである。
「そうだが⋯⋯俺は大丈夫だ。どういう意味だ? 俺は交尾は好きだが、こんなサイズが違う姿でお前を犯そうなんて思っていない」
「あっ当たり前でしょ! 壊れちゃうよ! そうじゃなくて、他の、獣⋯? とかとしたくなったりしないのかなって⋯⋯」
なぜそんなことが気になるのか分からないものの、自分との差を急に実感してきたのだ。
彼には好かれているから安全だしこうやって戯れられるけれど、対等な獣ではなく、小さく無力でちっぽけな自分でいいのだろうかと。
「ふっ、そんなことを考えたのか? では俺はお前に好かれているんだと自惚れていいのだろうか。他の獣と交尾したら、嫌だと思われるぐらいには」
彼の舌がまた頬を猫みたいに舐めてくる。
あなたは急激に恥ずかしくなりうつむいた。