第3章 庭園にて
「ああ⋯⋯それか。今日見たいのか? せっかく良い雰囲気なのに⋯⋯」
「どういうこと? 別にマイナスにならないでしょう? 気になるよ、早く早く」
あなたは好奇心に駆られて彼にせがんだ。
するとようやくルドガーは重い腰を上げる。
そしてなんと服を脱ぎだした。彼の逞しい肉体美があらわになり、目を見張る。
「ちょっ、なんで脱ぐの!」
「獣化したら服が破れるだろう。この服は気に入ってるんだ」
あまり乗り気じゃない様子で全裸になられ、あなたは家の人達に見られてないかと焦る。
「もしお前が気に入らなかったらどうする。破談か? そんな悲しいことを今日の俺に経験させる気か」
「や、やだなぁ。そんなことしないよ」
「⋯⋯だが、お前は怖がりだ。すごく心配になってきたぞ」
一転して繊細にこぼす彼を、あなたは鼓舞しようと努めた。
「大丈夫、もし怖かったとしても段々慣れるから。今までだってそうでしょう? ルドガーの温かさ知ってるし、どんな姿でも全部あなたなんだから」
「⋯⋯そうだな。わかった。お前を信じるとしよう。もし嫌われても、もう一度好きになってもらうさ」
最後は男らしくそう言い、彼は目の前で獣化した。あっという間のことだ。
その姿は――まるで想像とは違った。
池の畔に、腕を2人分広げても間に合わないほどの大きさの、神秘的な獣が四つ足で立っている。
身体は黒光りする濃い青色で、もらった花のようにきらめいていた。
ピンと立った獣耳は美しく風になびき、その後ろに黒い龍角みたいな角が波を描くように生えている。
体にまとう毛は長く、腹と足元も覆いそうなぐらいだ。
だが体つきは筋骨隆々で引き締まっていて、顔は獅子にも狼にも似て凛々しかった。
「あ⋯⋯ルドガー⋯⋯なの?」
「⋯⋯そうだ。どうだ? やはり、駄目か⋯⋯」
「かっわいいー!!」
あなたは感動に打ち震える体を我慢できずに、彼のもふもふした毛に飛びついた。
顔を埋めて体まで埋め、毛の中に入ってしまいそうになる。
「なっ、なにをする、!」
「こんなに可愛くて格好いい姿なの、ずっと黙ってたの? 大きな動物じゃない、あぁ気持ちいい〜。しっぽもふわふわ!」
まるで動物園で特殊な巨大生物を目にしたかのように、あなたは彼に興奮しながらまとわりついた。