第3章 庭園にて
「駄目か⋯⋯?」
「ルドガー⋯⋯」
あなたは彼に体を寄せて、瞳を上向かせて見つめた。
いつもは鋭い金の瞳の中に、小さな自分が映る。
その瞬間、ずっとこうして欲しいと、そう願ってしまった。
「私、記憶がないんだよ? 本当はすごい悪い奴かもしれないよ。素性が分からないままで本当にいいの?」
「お前は悪いやつじゃない。俺はよく知っている。今ここにいるのが確かなお前なんだ」
「でも、でも⋯⋯そんな簡単に決めていいの。まだ出会って一カ月ぐらいだよ。番って、一生そばにいるんでしょう? 死ぬまでだよ。ルドガーはそれでいいの」
「それがいい。お前以外の女はいらない。お前だけが欲しい。俺はのことが何よりも好きだ」
抱きしめられて、何もない自分が認められた安心と喜びに包まれていく。
あなたはぐすぐすと鼻をすすりながら、もう彼にすべて任せてもいいかもと思い始めていた。
それは生きていくための本能なのかもしれない。
でも、ルドガーになら、身を預けられると感じた。それに、これから彼をもっと笑顔にしたいとも思った。
「じゃあずっと私のこと守って。お願いね、ルドガー」
「ああ、任せろ。⋯⋯ではいいのか? 俺の番になるか」
あなたが頬をほんのり染めて頷くと、彼は爆発的な笑顔を広げた。
力強く抱きすくめられて、この時ばかりはあなたも全身で受け止める。
「嬉しいぞ、⋯⋯!」
「うん、私も⋯⋯!」
オーケーしてからは、こちらも気分が高まってきて、あなたの小柄な体になついてくる男を懸命になだめた。
尻尾があったら振ってる姿が思い浮かぶほど、まるでほんとに獣みたいだと微笑む。
そう考えていると、ふと疑問が思い出されていった。
「あっ! 大変、ルドガー!」
「なっなんだ」
「私まだあなたの本当の姿見てないよ、いつ見せてくれるの? 見てないのに番って決めていいの?」
たたみかけると、彼は急に現実に引き戻されたように視線をずらしてくる。