第3章 庭園にて
「きれい⋯⋯このお花、私にくれるの?」
「そうだ。受け取ってくれるか」
「もちろん。ありがとうね」
両手に抱えて眺めていると、じわりと涙がにじんでくる。なぜ泣きたくなるのか分からないが、彼とお花という意外な組み合わせに、きっと苦労して手に入れてくれたのかもと想像出来たからだ。
「これ、どうしたの? 絶対その辺で売ってるやつじゃないよね」
「まあな。こことは違う森で手にいれた。毎日違う色になるんだぞ。お前は綺麗なものが好きだから、きっと楽しめると思ったんだ」
「⋯⋯素敵⋯⋯なんて素晴らしい贈り物なんだろう。每日眺めるね」
あなたは体を起こして、彼の頬にちゅっとキスをする。
初めての試みだったが、自然にわきでた気持ちだった。
彼は瞳を柔らかくし、あなたの頬に口づけを返す。そしてそのまま、唇にも重ねた。
また優しいキスだ。最近のルドガーは、まるで壊れ物を扱うかのように、より大切にあなたに触れていた。
「。お前にもうひとつ伝えたいことがある」
「なあに?」
「⋯⋯俺の番になってくれないか? 俺の心からの願いだ」
ルドガーは眉を切なく寄せて、あなたに乞うように両手を握った。手の甲に唇をつけて、もう一度見つめてくる。
あなたは驚きのあまり、言葉が出てこない。
まさかそこまで彼が今日、準備しているとは思わなかったのだ。
しかし間を開けるのは彼を不安にさせると思い、こう言った。
「番って⋯⋯結婚、ってことだよね? つまり」
「そうだ。人間風に言うならな」
「⋯⋯結婚⋯⋯」
あなたはぐるぐると思考が回り出す。
自分はまだ若く、実感がない。何よりここでどう生きていくのかも分からない。
元の世界に帰ったりするのかどうかも。
そんな責任が一気に押し寄せてくる。