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巨体の人外に助けられて世話される話

第26章 彼女を知る者


「ほう。いい動きだ。やはり……あの公爵は良い腕を持っているな」

男は満足そうに呟き、戦いを眺めていた。

あなたはそれを呆然と見ている。
獣をいたぶっても何とも思わない、その魔術師の姿から、あることを連想した。

「……あなた、ルドガーのことを知っているの? ……もしかして、彼がいた施設の人……?」

震える声で問うと、男はこちらを見やる。

人を人とも思わなそうな冷酷な目つきに、鼓動が音を立てた。

「そうだが。君は何か特別なのか? 何がそんなに、あの獣を惹きつけている?」

逆に問われ、赤い瞳から逸らせないでいると、あなたは突然その場に崩れ落ちた。

意識がなくなり、ピンクのローブがぱたりと地面に倒れる。

その瞬間を、獣の猛攻を受けていたルドガーが直視した。

「あ…………ッ!」

彼の叫び声が、平原に鳴り響く。

ルドガーは同時に召喚獣の攻撃を食らい、かばった腕が血で裂けた。

流血し、そのまま腹部も大きな爪で切りつけられる。

「グッ……!」

防御の姿勢で受け止めようとしたが、彼の体は地面に叩きつけられた。

「……ふ。何を油断しているんだ。本気でやれ」

上から諭すように告げると、魔術師は意識のないあなたを抱き上げ、その場から離れようとした。

ルドガーはあなたを失う恐怖から、戦意が徐々に揺らいでいく。

それでも地面から起き上がり、召喚獣の攻撃を再び片腕で受け止める。流血は止まらない。

彼の血に濡れた眼差しは、遠ざかるあなたから逸らせなかった。

「、やめろ、……ッ」

ルドガーの獣化がゆっくりと解除され、人の姿に変わっていく。

金髪オールバックの男が背中を見せ、姿を消そうとした、その瞬間――。

空間魔法に異変が起きた。
その場を覆っていた巨大な召喚獣が、時を止められたかのように、一瞬で灰になる。

そして、そのまま消失した。

黒い風が吹き、魔術師はすぐに宙を見上げた。
緑の平原が、色褪せるようにさらさらと崩れていく。

「…………っ!」

そして再び森の風景に戻されたとき、魔術師の男はその場に膝をついた。

あなたを両腕に抱えたまま、正面を見つめる瞳は大きく見開かれている。

声を発することもできないようだ。
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