第26章 彼女を知る者
「さあ。お前の力を見せてみろ。どれほど強くなった?」
淡々と言うと、召喚獣を解き放つ。
同時にルドガーの拘束も解け、両者は戦わざるを得なくなった。
「くッ……貴様は誰だ、なぜこんなことをする!」
ルドガーは二本の長剣を構え、獣を殺しにかかる。
金髪の魔術師は、それをただ冷静に眺めていた。
そして自らはあなたの近くに佇み、直立したまま動かない。
敵の猛攻に耐え、高く跳躍したルドガーは、獣の首根っこを羽交い絞めにして剣を突き刺す。
そして召喚獣の息の根を止めた。
血しぶきを浴びた彼は浅く呼吸をしながら、男に向かって歩いてくる。
「を離せ……は俺の番だ!!」
男は片方の眉を怪訝そうに上げ、口を開く。
「番? 人間と交わっては、強い獣は生まれないぞ」
「黙れ……俺達の間に余計な口を挟むなッ!」
ルドガーの怒号が響く。
男はそれを聞くと、新たな獣を召喚した。
今度はさらに巨大で、邪悪な煙を全身から吹き出している。
あなたはそれを見て震え上がった。
魔術師は、なぜこんなことをするのか。
獣のルドガーのことを知っている口ぶりで、どんどん強敵を出現させている。
召喚獣は男の魔法によって強化され、全身に魔法陣の光線が張り巡らされていた。
赤くほとばしる目つきからして、普通の魔獣とは一線を画している。
「これは人化では厳しいだろう。獣化しろ」
「……うるさい……ッ! 俺に命令するな……ッッ!!」
ルドガーは青く気高い獣の姿に変化し、空間を突き破るような咆哮を上げる。
これを倒さなければ、奴の戦力を削らなければ、あなたを奪われる。
彼の闘争心と恐怖心が、獣のルドガーの全身を支配する。
そして、猛突進していった。
男はルドガーの獣化した姿を見て、初めて表情をわずかに変えた。
波打つ黒い角に、獰猛な表情。
見開かれた男の赤い瞳は、それらに引きつけられていた。