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巨体の人外に助けられて世話される話

第26章 彼女を知る者


森に現れた金髪オールバックの男が、こちらへ歩みを進めてくる。

黒く長いローブには銀の刺繍が入り、男の表情は凍えるように閉ざされていた。

「……こっ、来ないで!」

あなたは張り詰めた空気が恐ろしくなり、ローブから短剣を取り出して身構えた。

ルドガーが焦った目つきを向け、魔術師らしき男もあなたを視界に入れる。

赤い瞳に捕らえられた瞬間、あなたの身の回りを包み込むように、赤い膜のドームが形成されていく。

一人閉じ込められたあなたは混乱に陥り、両手で激しく叩いた。

「なにするのよ! 出して!」
「……!!」

ルドガーは長剣を握ったまま駆けよろうとするが、その巨体が瞬間的に動きを封じられた。

見えない拘束魔法を全身に受け、体躯が硬直する。

「ウ、グ……ッ」

うめき声を上げながらも、あなたから目を離さない。

「……なぜ人間を連れている?」

男はルドガーには目もくれず、独り言のように呟きながらあなたへ近づき、見下ろす。

まるで研究対象でも見るかのように、不気味に据わった赤い瞳で探ってきた。

「や、めろ……ッ」

ルドガーのこめかみに血管が浮かび、怒りの滲んだ形相で男の行動を追う。

すると金髪オールバックの男は、大柄な体を振り向かせた。

「ふむ。……彼女に執着しているのか。どれ……」

前方に手をかざすと、森の景色が瞬く間に変わった。

木々は消え、緑が揺らめく平原が広がっていく。

空間魔法で別空間を作り出した男は、そのまま両手を組み合わせて詠唱を始めた。

するとルドガーの前に、黒く大きな召喚獣が現れた。

地獄の番犬のような凶暴な顔つきだ。
大口の牙からは涎が滴り、禍々しい姿で咆哮を上げている。

獣はかろうじて見えない首輪に引っ張られていて、今にもルドガーに襲いかかりそうだった。

「やめてえ!! なにするの! 離してよ、ここから出して、……ルドガーっ!!」

あなたは思いきり叫ぶが、声がくぐもって外には届かない。

男はそれを無視し、標的を定めていた。
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