第25章 魔術師と護衛編
任務が無事に終わり、最終日にあなた達は応接間で別れのお茶をしていた。
公爵ディスターはあなたに良い評価を与えてくれた。
「君の施術は素晴らしかった。魔術師団にはそう報告しておくよ。……僕もこれから、父について色々知ろうと思う。何を考えていたかとか、何に興味があったのかとかね。他の兄弟とも話をしてみるよ」
前向きに語ってくれて、あなたも嬉しい気持ちになった。
数日前とはすっかり顔つきが異なっている公爵のことを、勝手ながら応援したいと思う。
「、君にはこれからも、個人的に面談を頼みたいな」
「ええっ? 私がですか?」
「そうさ。いいだろう? 君のセラピーのファンになってしまったよ。自己の解放というのか……ああ、癖になりそうでね」
ただの催眠術なのだが、乗り気になっている公爵にあなたはお茶を濁し、微笑みを浮かべておいた。
「あとな。それとは別に、君達にもう少し頼みたいことがある。ちょっとしたことなんだが」
ディスターは無表情で後方に控えている護衛のルドガーを見やった。
「父との過去の断片を、ひとつ思い出してね。この周辺の森のことなんだ。家族三人だった頃、僕と父で時折散歩をしていた。そのとき、父が言ったんだよ。この先はたまに、異形の存在が出るって。だから森を大切にするようにとね」
真面目な顔で告げられて、あなたも驚く。
公爵は、父親が子供に悪戯をしないように告げただけだと思ったらしいが、父についてこの数日考えていたら、森のことが気になってきたようだ。
ルドガーは真剣に彼の疑問を捉えた。
「それを、我々が調べればよいのですね?」
「ああ、出来たら頼むよ。帰り際に少し見てくれるだけでいい。小さい森だし散歩できる距離だ。⋯⋯異形というのは奇妙に聞こえるが、僕も何度も歩いているけれど、何も起こらなかったからな」
しかし、あの乳母の幽霊を見た、感受性豊かなあなたならば、何か感じるかもしれないと公爵は考えたという。
「じゃあ帰りに寄ってみましょうか。ルドガーさん」
「わかりました」
あなた達は頷き合い、その追加の依頼を了承した。
そして身支度をし、邸宅をあとにする。
公爵は最後まであなたに感じよく、彼が取ってしまった耳当ても返してくれた。
玄関口で美しい金髪男性が、笑みを浮かべ壁に寄りかかっている。