第25章 魔術師と護衛編
公爵には休息を勧め、ひとまず任務を無事に終えたあなたとルドガーは、自室へ戻った。
あなたの部屋に入ると、なぜか窓が開け放っていた。
爽やかな昼の風が入り、吹き抜けて頬を撫でる。
「わっ……!」
後ろからついてきたルドガーも、今度は窓をすぐに閉めずに、一緒に見つめていた。
「……解決、したのかな」
「……そうですね」
まだ敬語を使っている彼に向かって、あなたはむっと拗ねた顔つきで振り向こうとした。
すると、目の前が騎士の制服の分厚い胸に覆われる。
「んむっ」
ぎゅううっと力強く抱きしめられて、苦しくなったが、ようやくあなたは落ち着くことが出来た。
「⋯⋯もう! 遅いよ騎士さん!」
「悪い。」
そう言って彼は抱擁しながら、あなたの頭のてっぺんに優しく口づけを落とした。
静かな部屋の中で見つめ合う。
「……きっと解決したよね」
「ああ、したと思うぞ。お前の術は初めて見たが、見事だった」
まだ顔つきは仕事モードが抜けていない彼に、そう褒められて嬉しくなる。
「ほんと?」
「本当だ。だが俺には、何をしているのか、よくわからなかった、正直」
「…はあっ? それどういう意味っ?」
「俺が見てきた魔術師共の強制的な催眠術とは、かけ離れていたからだ。……あんなふうに、会話するように出来るものなんだな」
ルドガーは瞳を揺らし、あなたの頬をもどかしげになぞる。
大きな手の温もりを、あなたも上から握って確かめた。
「そっか。正直、私も人の見たことないから分からないんだ。ただお話してるだけだよ」
「……そうか…? なら、それがお前のやり方なんだな。いいと思うぞ。……ただ」
髪をそっと梳きながら、ルドガーは困惑の瞳を向けている。
「護衛は必ずつけろ。対象との距離が近すぎる」
そこだけははっきり主張されて、あなたは吹き出してしまった。
そして彼に、「笑い事じゃない」と真摯に怒られた。
あなたは笑みを浮かべながら謝り、可能なら必ずつけると約束をする。
それから二人でベッドに座り、少し休んでいた。
まだうっすらと術の余韻が広がっていたあなたはふと、彼に尋ねる。