第25章 魔術師と護衛編
しばらくして、彼は覚醒した。
ディスターは恥ずかしそうに片手で頭を押さえ、ソファに足を開いて座っている。
「……なんという恥だ……あんな威厳のない姿を見せてしまうとは……」
あなたは彼に紅茶を入れ、書斎室で微笑みを浮かべていた。
「恥ではありませんよ。記憶が無事に見つかったじゃないですか」
「……それはそうだが……」
顔を上げた公爵はまだ目が赤くなっていたので、あなたは冷たいタオルを渡した。
顔を覆ったあと、肩で一度息をし、彼はこちらをじっと見つめる。
「君は末恐ろしい魔術師だな。……さっきのは、いったいなんだったのだろう。僕は、ずっと夢を見ていたんだ」
「本当ですか?」
「ああ。……だが、あまりに鮮明で……あれは本当に現実の過去か? ……君が見せていた幻影ではないよな?」
とんでもないことを言われ、あなたは勢いよく首を振る。
「師匠じゃあるまいし、そんなこと出来ませんよ。ディスター様、私は基本的な催眠魔法を使用しただけです」
「……そうか。ならいいんだが」
テーブルの上に置いてあった耳飾りの木箱を、彼はまた手にとって眺めた。
「母上の部屋に、これは飾っておこう。……それにしても、僕の乳母がこのことを教えてくれたとはな。父上が、そんな話までしていたのだろうか」
彼らが実際にどの程度の関わりがあったのかは、今となっては知る由もない。
だが、乳母は彼ら親子のそれぞれの後悔を、近くで感じ取っていたのかもしれない。
あなたは一連の話を知り、そんなふうに思った。