第25章 魔術師と護衛編
老執事の案内で屋根裏へのはしごを使い、上に登った。
物置には光が差し込み、棚など多くの物が置かれているが、整理整頓されている。
三人で手分けして探していると、ルドガーが「これでは」と差し出してきた。
小さな木彫りの箱で、女性の香水のような匂いがしたらしい。
ディスターは箱を手に取り、怪訝に見下ろす。だが、それを無造作に開けると、彼の顔つきが変わった。
「……これは……耳飾りだ。母のもの、かもしれない」
宝石と真珠がちりばめられた装飾具を、彼はよく眺めた。
そして頭を押さえ、ふいに苦し気な顔をする。
「どうしました、ディスター様」
「この木箱は、僕は見たことがある。父が僕に渡したんだ。でも、何を言っていたのか……思い出せない」
そう呟いたのを見て、あなたは長身の彼をそっと見上げた。
「大丈夫ですよ、きっと思い出せます。私がお手伝いしますからね」
それだけを伝えると、公爵は覚悟したように、こくりと頷いた。
彼が自ら記憶に触れたいと願うことは、術の助けにもなる。
たとえば師のミザロは、強制的に記憶や思考を読み取れるが、それは彼の凄まじい力量あってのことだ。
でもそんなミザロでも、以前こう言っていた。
本人の前向きな意思は、術に大きな影響を与えるのだと。
そして、それはあなたの施術と相性がよさそうだとも。
昨日過ごした書斎室で、公爵ディスターは自らソファに寝そべり、リラックスできる体勢を取った。
一度昼寝がうまくいっていたので、彼も肩の力が抜けている。
「ディスター様。ルドガーさんもそばに控えていますがよろしいですか」
「ああ、いいよ。彼も役に立ってくれたからな」
公爵はあくびをしながら、目を閉じて自由にしている。
遠くに座っているルドガーと、ソファのそばの椅子に腰かけるあなたは視線を合わせた。