第25章 魔術師と護衛編
「すみません、ディスター様。そう簡単にプライバシーを明かせないんです。魔術師って、謎に秘めてないといけませんから。……でもそうですね。あなたの記憶が無事に思い出せるようになって、任務が成功したら……お話しますよ」
にっこりと笑むと、彼は目を瞬かせる。
「驚いたな。この僕に交渉する気かい? 君、なぜ僕を怖がらない? 指一本で簡単にクビに出来るんだよ」
美形がぎらりと瞳を一瞬光らせるものの、ゼイランに慣れているあなたは怖くはなかった。
それに自分には、なによりルドガーがいてくれるのだ。
ミザロも守護者も、他の人たちだって。
「私はあなたを怖がったりしませんよ。ただ、もっとディスター様を知りたいんです。あなたが望んでいるという、記憶を探すお手伝いがしたいだけなんです」
魔術師としての成長と、自分という確立。そして人助け。
与えられた仕事の中でそれらが叶うならば、なんだってする勢いだ。
強固な人間の瞳に芯を見た公爵は、視線をわざとらしくさまよわせ、ふうとため息を吐く。
「ああそうかい。なんだか、牙が一瞬だけ抜かれた気がするな。……少し眠気が襲ってきたよ。……ああ、君との会話がつまらないわけじゃない。最近疲れていてな」
あくびをしながら、彼の表情が一瞬緩んで見えた。
あなたは彼に、少し横になったらどうかと提案する。