第25章 魔術師と護衛編
「わかりました、やってみます。……師匠がこの間言ってくれたように、私なりのアプローチでいいんですよね?」
「ええ、ご自由にどうぞ。楽しみにしていますよ、さん」
「はい!」
まずその滞在中に依頼主によく話を聞き、彼の思い出せないという記憶を探っていこうと決意する。
話がまとまり、ミザロはルドガーを見やる。
「それでですね……問題はあなたなんですよ。お二人とも、今回はただの護衛と魔術師という関係で過ごしてください。つまり他人です」
「なぜだ。意味がわからない。俺とは番だ。隠すことはないだろう」
「いえ、隠してください。依頼主の心をほぐすためです。くれぐれも問題は起こさないように。相手は公爵ですからね、ルドガー。粗相のないようにお願いしますよ」
はっきりと言い残し、ミザロは用が済んだとばかりに立ち上がる。
公爵様が依頼主だなんて。
ルドガーの主人と同じ爵位をもった、まさしく高位な社会的立場だ。
軍人であるルドガーが歯向かえるはずもなかった。
「くそ……面倒な案件をよこしやがって……」
「あなたを配置するのは私の優しさです。本当は騎士でいいんですから。そこをお忘れなく」
ミザロは恩着せがましく言い、去り際に上からの笑みを見せた。
ルドガーは何も言わず、テーブルに置いた拳をぐっと握っていた。