第24章 入団編
「ゲインさん。ミーシャちゃん、可愛いですね」
「⋯⋯ああ⋯⋯すごく愛らしいやつだ⋯⋯」
「今、ゲインさんがミーシャちゃんを抱っこしてると思ってください。⋯⋯そして彼が、あなたのことをくりっと丸い黒目で見上げています。⋯⋯ミーシャちゃんは、あなたにどんなことを喋っていると思いますか?」
そう尋ねると、ゲインはすぐには答えなかった。
しかししばらくして、こう言った。
「⋯⋯⋯⋯お父さん、ありがとう」
その言葉を聞いたとき、あなたは目を丸くした。
一瞬どう反応しようかと思ったが、でもすぐに、そうなのだと頷く。
いつも余裕綽々な感じのゲインだが、黒猫ミーシャを家族として心から愛しているのだと。
「ありがとうございました。お疲れ様です、ゲインさん⋯⋯ゆっくりと、目覚めてくださいね⋯⋯」
あなたはそのまま、彼にブランケットをかけた。
ルドガーもゲインも、大きなベッドに離れて寝ている。
あなたも集中したら眠気が襲ってきて、食卓を綺麗にしたあと、居間のソファへ横になった。
そしてしばらく、眠ってしまった。
一時間ほどが経ち、ゲインが目覚めた。
彼は隣に巨体が倒れているのを見て「あぁッ」と飛び起きた。
「あれ⋯? 寝ちまったのか⋯⋯」
そう言って寝室を出ると、あなたがソファに丸まっていた。
笑いをもらし、寝室からブランケットを持ってきて、かけてやった。
部屋を見回し、首をひねる。
「あんな話してたからか、妙な夢見たな。⋯⋯まあいいか」
ゲインは茶髪を掻きながら、温かい気分で口元を上げる。
そして二人にメモを残した。
『ごちそうさま。楽しかったぜ、また飲もうな。今度はうちに来いよ』
そう書き留め、自分はあくびをしながら部屋を出ていく。
「あいつもう寝てるかな。はあ、飲みすぎたから転移魔法はやめとくか。⋯⋯馬車呼ぶか、めんどくせえが」
煙草に火をつけて、ゆっくりとした足取りで帰っていった。