第24章 入団編
こんなふうにのどかな雰囲気でやっているが、もちろん使命は忘れていない。
台所からちらりとゲインを盗み見し、いつ仕掛けようかと目論んでもいる。
だがルドガーはさすがだ。
平常心だし、あれだけ酒を飲んでも言動は普通で、むしろ水みたいに飲み干している。
今は人化しているけれど、大型の獣の体は、やはり人知を超えた存在なのだ——。
「は〜なんか眠くなってきちまったな」
「そうですか〜? ちょっと横になってもいいんですよ。明日も休日だし」
「いやいや、悪いってそれはな。新婚さんの家に⋯⋯」
そういう言うゲインの瞳はやや虚ろで、確実に酔っ払ってきている。
あなたは背後から近づき、手をかざそうとした。
しかし、その時だった。
ゲインはゆっくりと振り向く。
そのときの彼の瞳は、完全にシラフに見えた。
「ひっ」
「⋯⋯んー? どうした嬢ちゃん。あんた何も飲んでないよなぁ? 顔が赤いぞ」
「そうですか? 気分が上がっちゃって、ははは」
あなたは舌打ちを噛み殺し、やはり格上すぎる彼の油断を誘うことなど出来ないかも、と絶望する。
そのままルドガーを見やると、彼は大変なことになっていた。
「あれ? ルドガー?」
この一分ぐらいのうちに、彼の精悍な顔立ちがほんのり赤くなっている気がした。
だが無表情で、まっすぐ前を見つめている。
「大丈夫?」
ルドガーは何も答えない。
かと思ったら、そのまま横にどさっとぶっ倒れた。
「きゃーっ!」
あなたは焦り彼のもとに飛んでいく。
ゲインも何事かと立ち上がり、そばへ来た。