第24章 入団編
「それにな、安心しろ。あいつも本気でくると思うぞ。もし油断して新人に術をかけられてみろ。あっという間に噂が広がって、ベテランの面目丸つぶれだ。俺が軍に入りたての若造に足を引っかけられて転ぶようなものさ」
鼻で笑い、ルドガーは水をがぶ飲みする。
あなたはぴくっと可愛らしく眉を上げた。
「ちょっと。あなたにしては毒が効いてるよ今の。私だってルドガーの足ぐらい引っかけられるんだからね」
「ははは! 確かにお前にやられたら俺はすぐすっ転ぶな。……悪い、少し気が立ってるんだ。⋯わかるだろ?」
彼はなぜか少し挑発的な眼差しであなたを見やった。
こっちは反対にドキっとする。自分は何かしただろうか。
「なあに? どうしたのルドガー。任務で何かあったの?」
甘い声を出して、食べ終わっていたあなたは彼のほうに向かう。
そして無遠慮に膝の上にお尻を乗せた。
首に手を回して上目遣いで寄りかかると、ルドガーはまんざらでもない顔つきで見つめ返し、あなたの腰を片腕で抱える。
「お前が入った魔術師団は陰気な男共の巣窟だ。なぜ女のお前がそこにいるのか、俺には理解できん」
「ふふふっ。確かに。私もびっくりしちゃったよ。それにさ、変な人がいっぱいいるね」
あなたは面白おかしく出会った人たちのことを話した。
あの眼鏡の人の名刺のことは言わなかった。
ルドガーも騎士団と提携する魔術師団のメンバーと、何度か仕事をしたことがあるようだ。
「ああ、あの黒い奴か。あいつは頭がおかしい。近寄るなよ。それに他の細々とした奴らもだ。ゲイン以外は無視しろ」
「もう、それって全部じゃない。仕事出来ないでしょ」
ルドガーは瞳を逸らし、当然のように要求してくる。
いつもと変わらない彼の様子に、あなたは顔がほころんでいた。