第24章 入団編
ミザロの部屋を出て、あなたとゲインは和やかに喋っていた。
「もう師匠ったら、私が超格上のゲインさんに催眠術かけてペラペラ喋ってもらおうなんて、何年かかるか分かりませんよ~」
「はは、本当だよな。さすがに俺も防護結界に命かけてきた中年魔術師だ。新人のあんたにそう簡単に破られるわけにはいかねえよ」
重みのある言葉が背中にずしっとのしかかる。
「さっすが~。ですよね~。……じゃあこの話は置いといて、今度うちに来てくださいよ。まだ部屋の防音魔法のお礼してなかったですし、今日の感謝も兼ねて。おもてなしさせてください!」
「おおっいいのか? 酒盛りしようって言ってたもんな。楽しみだぜ」
ゲインは軽快に笑い、上機嫌に煙草を取り出す。
ぷかぷかと吸い出し、二人で約束をした。
「ルドガーも楽しみにしてますよ。もうお酒買ってるんで!」
「そりゃあいい。俺も持ってくから、飲み比べだな。つまみ用意しといてくれよ」
「はい! じゃあお疲れさまでした~また~」
あなたは手をあげて去っていくゲインの背を、じっとりと見つめた。
ピンク色のローブをまとった一見可憐な少女は、ゆっくりと不気味な薄笑いを浮かべていく。
対してゲインも、横目であなたの気配をじっと最後まで感じ取っていた。
二人とも、その日が勝負の日になる予感がしていた。
ゲインを誘ったのはいいものの、家に帰って和やかに夕食を取っていると、また頭が悩んでくる。
ルドガーはそんなあなたを、ご飯をかきこみながら気にしていた。
「どうした。お前のその案、いいじゃないか。あいつをここに呼びつけて、酔いつぶれさせて催眠魔法をかければいい」
すでに事情を知っている、戦闘では容赦ないルドガーにそう言われると、あなたは尻込みしてくる。
「そうなんだけどさ……卑怯だよね。三人で楽しく飲もうっていう時間を利用しちゃって……何してもいいとは言われたけど」
「まあな。だがゲインが相手となると、お前の力じゃ正攻法では難しいと思う。裏をかいたり、敵の弱点をつくのは戦いの基本だ」
はっきり言ってくれた彼にあなたは顔を上げる。