第24章 入団編
「な、なんだ。彫像か。びっくりしたぁ」
近くまで歩くと微動だにしない物体だったので、あなたは安心して見上げた。
さすが悪魔族のゼイランが所有する魔術師団だ。像もリアルに凝っている。
そう思っていたら、その像の目がじろりとこちらを向いた。
「えっ……」
「……はじめまして。さん」
あなたは叫ぶのをこらえて、思わずゲインの背の後ろに隠れた。
大人のゲインは笑っていたが、その彫像は普通に喋っている。
「怖がらせるなよ。お前、いつか魔術師長に出禁くらうぞ」
「もう食らってますよ。どうしてだろう。僕はただ、自分らしくいたいだけなのに」
優しい声音を確認すると、やはりあの悪魔の口から出ている。
「も、もしかして、団員の方でしょうか」
「そうですよ。すみません、驚かせてしまって。今日は新メンバーのあなたに挨拶したかっただけなんです。許してくれますか」
丁寧に言われて、目がぴかっと見開き口が裂けるような恐ろしい笑顔を向けられた。
どうしてこんな姿なのか、聞いちゃいけない気がしたため、あなたは漏らしそうになるのをこらえて震える手で握手をした。
すると満足したのか、彼は去っていった。
「……あ、名前聞くの忘れた……」
「安心しろよ、誰も知らねえから。皆悪魔って呼んでるんだ」
さらりと言われ、衝撃が襲ったけれど、あなたはもうスルーすることにした。
そして一通り誰もいない研究室を見たあと、また別の人物があなたのそばを通りかかった。
黒髪に眼鏡の、スタイルのよい魔族の青年だ。
そういえばあなたは今日は耳当てをせず、堂々と人間としてここに居た。
ちらっと見かけたこの男性も、耳さえ尖っていなければ、あなたやセロと同じ仲間にすら見える。
そのぐらい、驚異的なオーラを感じない一般人のようだった。
「こんにちは」
彼は立ち止まり、あなたに挨拶をした。
ほっとして見上げ、微笑んで「こんにちは」と返す。
すると彼はなぜか、あなたの前からどこうとしなかった。
職員なのだろうか。観察するような眼差しで黒い瞳に見つめられ、だんだんと気まずくなってくる。