第23章 真相編
「ルドガー……」
あなたの揺れる眼差しを、ルドガーは手をぎゅっと握って和らげようとした。
「心配はいらない、」
そう言って繋いでくれるが、彼も焦燥したふうに主人を見やって答えを探そうとしている。
ゼイランは立ち上がった。
皆の注目を集める中、水槽で不気味に静まるデシエに近づく。
二人はガラス越しに視線を交わし、彼は息を吐き出した。
「くだらん。そんなことがあるはずがない。俺はくまなく確かめたんだ。怪しそうな貴族はな」
そう言って、ゼイランはあなたを振りかえった。
突然まっすぐ貫くような目つきをされ、鼓動が跳ね上がる。
さっきまでの抱擁が隅に追いやられるほど、不気味にあなたの心臓が音を立てた。
「あの……ゼイラン様?」
か細い声が漏れ出てしまうと、ゼイランは混乱した顔つきになり、銀髪を振った。
その様子にただごとじゃないと汗がにじむ。
「ミザロ。この女を解放しろ」
「いいんですか?」
「ああ。……おい、魔術師。次はお前らの番だぞ。ここまで引っ掻き回したんだ、俺を失望させるな」
ゼイランが瞳孔を開かせて睨みつけると、デシエは背筋が強張り黙る。
しかし彼女は息を整え、口を開いた。
「はい、分かりました。守護者さまは、必ずや……さんの前に姿を現すでしょう」
そう言って、皆の前で約束をした。
あなた達はミザロの監禁部屋を後にした。
魔術師塔の廊下を戻る間、ルドガーはふと赤髪の獣の隣に行った。
「ナザル」
「ああ、ルドガー。今日はすげえ日だったな」
「⋯そうだな」
セロとあなたが喋っている後ろのほうで、二人は会話を交わす。
ルドガーは少しぎこちなく、言葉を続けた。
「なあ。⋯⋯お前もあの施設に、いたのか⋯⋯?」
そう尋ねると、互いに立ち止まった。
ナザルは振り返り、やがてふっと笑みを浮かべる。
「俺のことはいいんだよ。⋯⋯お前の主人、中々いいやつじゃねえか。今日はいいもんを見させてもらったぜ。大事にしてやれよ」
そう言って、赤髪の獣はルドガーの肩に自分の腕をかけ、引き寄せる。
ナザルの瞳は晴れやかで、祝いを浮かべているようだった。
ルドガーは少し戸惑ったものの、しっかりと頷いて受け止める。
いつか自分が話したいときに、話すかもしれない。
同じ種族の獣として、そんなふうに考えることにした。