第23章 真相編
あれから十九年の歳月が流れ、ゼイランの前には、立派に成長した褐色肌の青年がいる。
ミザロの部屋で語り終えた彼は、ルドガーを見つめた。
「これが事の真相だ。施設からお前を救い出したと、俺はずっと嘘をついていた。俺はお前の尊敬を手放したくなかった。⋯⋯お前の英雄でいたかったんだ。……すまん」
正直に吐露した表情は、苦悩をにじませている。
彼は獣の反応を恐れていた。
この二十年が、ひょっとしたら消えてしまうのではないかと。
しかしルドガーは、勢いづいて立ち上がった。
切迫した表情で、主人のもとに近づいていく。
椅子に座る彼の前にひざまずくと、すぐさま主人を無遠慮に抱きしめた。
「……あなたはずっと俺にとっての英雄だ! この二十年、そうじゃなかった時はない! 俺を施設から救ってくれて、名前をくれて、鍛えてくれた! 誕生日を毎年祝ってくれて、俺をあなたのために戦わせてくれた! ……これが俺の真実だ!」
ルドガーは主人の肩を抱いたまま、ぐっと力をこめて吐きだす。
「ゼイラン様、俺はあなたを親のように愛している! あなたは俺の、最高の主人なんだ! それは一生変わらない!」
そう言って、顔を離した。
ルドガーは瞳を赤くしていたが、ゼイランは目を開け放ったまま微動だにせず獣を見つめた。
しかしやがて、彼の銀色の瞳は解き放たれたように緩む。
「……ルドガー、ありがとうな。俺もお前を愛しているぞ。……お前は俺が認めた、唯一で最高の闘獣だ」
そう言って、主人は彼の首を抱いて自分へと引き寄せた。
がっしりと抱きしめ、男同士の抱擁を交わした。
周りの反応は様々だ。
騎士ジュリスは固唾をのんで見守り、ミザロは穏やかに佇んでいた。
セロは号泣し、ナザルも少し安心したように見つめている。
そしてあなたも、ぽろぽろと涙が止まらなかった。
——よかった。本当によかった。
ルドガーのことを考え、それしか思い浮かばなかった。
するとゼイランは、近くにひざまずいたままのルドガーと、あなたを交互に見やる。