第23章 真相編
「分かった。あなたの使役獣になろう。絶対に強く逞しいオスになって、あなたを助けてみせる!」
「よし。頼もしいぞルドガー。じゃあ契約成立だな。目をつぶれ」
ゼイランは彼の胸に向かって手を差し出した。二人とも瞳を閉じ、独特な響きの言語で長い詠唱をする。
ルドガーのまだ少年の薄い胸元に、底のほうから力がみなぎるのを感じた。
黒いオーラと青いオーラが渦のように重なり合い、集束して内側から爆発する感覚だ。
「……っ!!」
ドクンッ、と心臓が掴まれる勢いで、ルドガーは目を開けた。
すると銀髪の主人は、口端をにっと上げて獣を見ていた。
「……今、何が起きたんだ? この力は、いったい……」
「俺の力をほんの少し分け与えただけさ。……俺が悪魔族なのは知っているな?」
暗いオーラを醸し、陰りのある笑みで問われる。
ルドガーはごくりと喉を鳴らして頷いた。
「……俺も悪魔族になったのか?」
「はははッ。そんなことはさすがの俺にも出来ん。お前は特別な獣だ。自分の種族を大事にしろ」
そう言うものの、ルドガーは希少な戦闘種族の純血種だということしか判明していない。
ゼイランが施設から聞いた情報でも、自ら学者に調べさせた結果でも、変わらなかった。
「俺は……特別なのか? そんな気は全然していない」
「俺はしている。お前が特別だとな。なぜなら、俺がそう思っているからだ」
ゼイランは得意げに腕を組み、ルドガーに笑む。
自分を見つめる純粋な獣の瞳に、喜びが生まれていくことに、彼の心もくすぐられていた。
「あなたが、そう思っているから……」
自分は特別であるのだと。
それはルドガーにとって、何よりも自信につながることだった。
彼の誇りになれるように、生きればいい。
自分にとっての大きな目標が生まれた。
ルドガーの瞳には、自分を穏やかな眼差しで見つめる主人が、いつまでも映し出されていた。