第23章 真相編
一年後、ルドガーは魔界の森にいた。
人化した褐色肌の少年は、しなやかで筋肉質な体つきに成長していた。見た目はもう、十五歳ほどだ。
だが彼は、全身血だらけで真っ赤だった。
手には魔物の頭がぶらさがり、浅く胸で呼吸をしている。
「ルドガー、よかったぞ。戦いではまず本能で敵を殺せ。そのためには何をしてもいい。自分のしたいように動くんだ」
「……わかった、ゼイラン様!」
汚れ一つない服をまとったゼイランは、宙に浮いていた体をゆっくり地面へつけた。
「よし。人型の訓練は今日はこのぐらいだな。獣化しろ」
命じられて、霧が深い森で獣の姿へ変わる。
黒光りする鮮やかな青毛がなびき、四つ足の凛々しい獣が現れた。
もう成獣の半分ほどの大きさになっている。
ルドガーは近くにあった水の樽に鼻先を突っ込み、喉の渇きを潤した。
「今日は特別な日だ。訓練が終わったら、ご馳走にしてやるぞ。何がいい?」
「本当か? たらふく肉の塊が食いたいな」
主人にそう告げながら、何が特別な日なのだろうと、まだ若いルドガーは不思議に思っていた。
屋敷に戻り、ルドガーは綺麗に体を洗った。
屋内では人化して過ごすため、いつも清潔にして見た目も整えることを執事から教わった。
他にもこの一年、食事や外出先での作法など、様々なことを使用人やゼイラン本人から学んだ。
「ゼイラン様。……このケーキはなんだ?」
呼ばれて大広間へやって来ると、食卓に並んだ豪勢な肉料理、そして菓子類にも驚く。
「そこへ座れ。今日はお前の誕生日だ。お祝いをしよう」
やたらと親身な声音で伝えられ、主人と同じくぱりっとしたシャツとズボンを履いたルドガーは、よく分からないまま椅子に座る。
大きな机の中央席に主人が、斜め前には自分がいた。
老執事は給仕をしたあと、邪魔をしないように姿を消した。