第23章 真相編
翌日。
昼に一時的に屋敷に帰ってきたゼイランは、ルドガーの姿を探した。
夜は私有地の森で狩りを教える予定だったが、どこにも見つからない。
一人が好きなゼイランは、使用人も執事や料理人など、最低限しか置いていなかった。
彼らに聞いてもルドガーの居所が分からず、頭を悩ませる。
「……はっ。まさか、あいつ……!」
嫌な予感がしたゼイランは、急いで昨日自分が過ごしていた大切な空間へと向かった。
そして、奥まっていく廊下を進み、扉がわずかに開いていることに気づいた。
しまった、という悔いる表情でゆっくり入っていくと、予期せぬ姿を発見した。
「……ルドガー…?」
小さな青い毛の獣は、丸いクッションの上で、尻尾を丸めて眠っていた。
近くにいくと、すやすやと寝息を立てている。
「…………お前」
ゼイランは呆気に取られ、寝ているルドガーの正面にあった、白い棚と祭壇に目を向けた。
鮮やかな花が飾られ、肖像画も綺麗に立てかけられたままだ。
ここは自分の母親の霊廟である。
幼い頃に亡くなった母親が、温かな雰囲気で祀られている場所だった。
ゼイランはルドガーを見下ろし、静かに隣に腰を下ろす。
そっと毛に手を伸ばして撫でると、ぴくっと一瞬だけ反応し、快く眠っている。
まるで、小さな頃の自分に重なった。
「お前もここが好きか。……ふっ。気が合うな」
ゼイランは少し悲し気に瞳を揺らし、しばらく獣を見つめていた。
こいつにも、親のような存在が必要なのかもしれない。
自分はただ強く戦える獣を欲していたはずだが。
こんな小さな生き物に、心が動かされる予兆がした。