• テキストサイズ

巨体の人外に助けられて世話される話

第23章 真相編


周りの獣たちは共に戦わされてきた者たちだ。
自分だけ抜け出して、いいのだろうか。

ゼイランは振り返り、ポケットに手をいれたまま首を傾げた。

「どうした。早く来い」
「……皆が、いじめられている……」

小さな獣は、初めて言葉を喋った。頭の中にあった怒りや苦悩から出た感情を、初めて外に発した。

ゼイランは眉をひそめ、獣の言葉をよく聞く。

「皆、ひどいことをされてるんだ。助けたい……」

そう言われて、ゼイランは眉を下げた。
この小さな生き物の、振り絞るような願いに。

「そうか。分かった。俺がなんとかしてやる。行くぞ」
「…………ああ!」

獣は顔をぱっと上向かせ、男の頼もしい背についていった。

そして一緒に猛獣たちの部屋を出て行く。
ゼイランは外の敷地の木陰に、獣を置いた。

魔法で彼の気配を隠しておく。

それからゼイランは一人施設に戻り、猛獣たちが集められた部屋の裏口を開け放った。

「さあお前達、自由になるといい! 悪徳魔術師らはもういないぞ!」

ゼイランは気持ちよく腕を広げ、勢いよく出て行く獣たちを見送る。

そして自ら建物を壊し始めた。最初は素手で破壊していたが、面倒になってきたので魔法で木っ端みじんにする。

焼け野原になった施設を見て、彼は満足気に腕を組んだ。

別棟からさきほどのローブの魔術師が口をあんぐりと開けて出てくるのを見て、ゼイランは自らの姿を消した。

そして手に入れた小さな獣の元へ戻る。
木の下で獣は、尻尾を丸めて横になっていた。

「済んだぞ。……あ? 寝てるのか。お前、将来が楽しみな男だな。……おい起きろ!」
「……うっ⋯?」

日々の戦闘で疲れていた獣は、ゼイランに抱き起されて目を開ける。
この銀髪の男に救われたのは、夢ではなかったようだ。

「俺はゼイランだ。様づけで呼べよ。俺は偉いんだからな」
「……ゼイラン、さま……」
「そうだ、家に帰るぞ! 掴まれ!」

彼は目の前で背中から大きな黒い翼を羽ばたかせた。

肩に乗り掴まった青い獣は、初めて紫色の空を飛ぶ。

彼の肩越しに見た光景は、生涯忘れられないものとなった。
/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp