第23章 真相編
「……分かっています、殺しはしません。……ですが、そんな男の言うことを信じる必要はありません」
「いいえ。セロさんは信じられる男の人ですよ。ナザルさんも。ねえルドガー」
「そうだ。こいつらはもう俺達の仲間だ。手出しするなら、俺達は黙っていない」
セロとナザルは瞳を揺らし、感動している。
その光景に、孤立しかけたデシエは唇をかむ。
ミザロはただ一人、満足気だ。
これこそが彼が望んだ戦況だった。
デシエはくつくつと気が触れたように笑いだす。
そしてルドガーのことを見やった。
まるで仮面がはがれたかのように。
「ふふふっ……でもあなた、何も知らないでしょう。主人のことを」
「……どういう意味だ?」
「ゼイラン公爵よ。……彼が隠していることを、何も知らないでいる……」
突然にやりと艶やかに笑い、ルドガーの心を別方向から揺さぶる。
あなたも彼を見上げ、戸惑いを隠せないでいた。
セロたちもルドガーに引きつけられた。
「何を言っている……俺を惑わすな……お前の言うことは信じないぞ」
彼は視界の曇りを振り払うように、頭を振って前に出た。
激しく剣先を向け、まっすぐ睨みつける。
「ゼイラン様は誰よりも信じられる方だ。俺を悪い奴らから救い出し、二十年間育ててくれた! 何も知らないお前が嘘をまき散らすな!」
ルドガーは動揺していた。なぜか心がかき乱される。
魔術師の淀んだ視線に捕まったかのように。
ミザロは眉間を寄せた。
彼らを観察するが、魔術師は術式を試みていない。ただ動揺を誘っているだけだ。
対してルドガーの体からは、不安な感情が滲み出ている。
それを察したのは師だけでなく、隣にいるあなたもだった。
「ルドガー、大丈夫だから、聞かないでいいよ」
「っ、ゼイラン様は、そんな人ではない! お前も知っているだろうっ!?」
あなたは何度も頷き、憤っている彼を落ち着かせようとする。
すると後ろに控えていた騎士ジュリスが魔術師に言った。
「我々の主君を愚弄するな。何が目的だ」
「彼の主人をここに呼びなさい。彼の口から話をさせればいい」
ガラスケースの中で、姿勢よく立ち、デシエは要求した。
ジュリスは睨みつけていたが、ミザロと視線を交わす。
そんな様子を腕を組み、ナザルは静観していた。
わずかに冷たく、一線を引いた表情で。