第23章 真相編
嘘を言っているようには見えない。
あなたのポケットに今日も忍ばせているハンカチを、優しく渡してくれたのも彼女だったのだ。
出番ではないと言われたが、あなたは彼女に引き寄せられるように前に出る。
ルドガーに肩を掴まれて、あなたは彼と一緒にゆっくり水槽に近づいた。
見上げると、彼女は瞳を揺らし、手を透明の壁につけようとする。
するとルドガーは「動くな」と容赦なく唸った。
デシエは手を後ろに回し、言う通りにする。
なんだかその健気な様子が、胸を少し締めつけた。
「あの、どうして私なんかのためにそんなに……してくれるんですか?」
「あなたにお伝えしたように、特別な方だからです」
「……でも、それはなぜ? 私はなぜ守護者さまに特別なんですか?」
そう尋ねても、彼女は口を閉ざした。
セロとナザルと同じように、守護者については自分の口からは話せないようだ。
「守護者さまは、偉い方なんですよね⋯?」
「ええ、そうです」
「普通の人が、簡単には会えないぐらいにですよね⋯?」
「はい」
でも、守護者はこの間の森での休暇のときに、「会うのが楽しみだ」と言ってくれた。
それは彼女の心からの言葉だと思った。
「なら、私から会いに行くのはどうですか? 誰にも場所も言いませんから」
「……駄目だ!!」
隣のルドガーが制止する。
あなたが彼の手を握り、「ルドガーも一緒だよ」と言うと、彼は弱々しい顔をする。
デシエはそれでも苦渋の顔つきをしていた。
「守護者さまには、誰も自由には近づけません。身軽な人ではないのです。……その機会が来るならば、あの御方からあなた方に近づくはずです」
そこまで喋ってくれて、あなたは胸が静かに高鳴った。
夢物語ではなく、本当に近いうちにそうなる予感がしてくる。
静観していたミザロを通り過ぎ、セロはデシエとあなたの間にやって来た。