第22章 新たな一歩編
口元を素早く動かしながら、彼はゆっくりと右手を上げる。
それから地面に向かって力強く下ろした。
「……ぐ、ぅウッッ!」
すると紫髪のデシエは、突然地面に体をひれ伏す。なにか強大なものに押さえつけられているかのごとく、這うようにもがいた。
それでも彼女は諦めず、口元で呪文を唱えようとする。
だがミザロは近くまでやってきて、手を伸ばしたまま彼女の顔に向けた。
そしてぐっと、掴むようにして捻り上げる。
「あ、ああ、ぐ、ぐ、や、やめ、ろ˝」
女のもがき苦しむ声が聞こえて、あなたはミザロに向かった。
「師匠! 苦しそうです、やめてください!」
「苦しめてるんです。これでいいんですよ」
師の恐ろしい文言には、その場の誰も口を挟むことはできなかった。
やがてデシエは力尽き、地面でうつぶせになり意識を失う。
獣のルドガーと、セロとナザル、あなたは皆頭が冷えた様子だった。
誰も何も言わず、ミザロの動きを待った。
黒ローブの彼は、ナザルを見やる。
「彼女を運んでください。目覚めたら尋問ですよ、皆さん」
「……あ、ああ。わかった……」
ナザルは言う通りにし、女を肩に担いだ。
あなたは心配したが、セロが「殺しちゃいねえ。あいつはこんなんじゃ死なねえアマだ」とまだ警戒しながら吐き捨てた。
あなたは落ち着きを取り戻したルドガーを見やった。
買い物に来ただけで、こんなふうになるとは。
しかも、彼とこんな劇的な形で再会するとは。
「ルドガー……」
「大丈夫だ、。終わった。俺たちも帰ろう」
「……うん。そうだね。一緒に帰ろう」
獣の彼の隣で、あなたはひとまず頷いた。