第22章 新たな一歩編
セロも肩をびくりと揺らし、後ずさった。
そしてなんと彼は、バッと踵を返した。
そのまま一目散に、公園から逃げていく。
「えええっちょっと!?」
あなたは彼の背に驚きをぶつけるが、もう姿はなくなっていた。
ナザルは自然に、あなたの隣に来て肩を抱いた。
「ふ……結局ああいうやつよね」
馬鹿にしたように女はこぼし、気を取り直してあなたに微笑みかける。
「今のは冗談ですよ。私はあなた達に、危害を与えたりしません」
「……ほ、本当ですか?」
「ええ。もちろんです。守護者さまの大切なさんのためですから」
妖艶な表情と優しい声色に、あなたは戸惑った。
ルドガーがいつも言っている、魔術師は嘘つきだ、信用するなという言葉が、頭の中を駆け巡る。
あなたは隣のナザルの腕に、自分の腕を絡ませた。
彼のことを、自分も信用していた。
ナザルは一瞬瞬きをして見下ろしたが、離さないようにぐっと脇腹に近づけてくれた。
「ほら、話があるならこのまま話せ。は必要以上にお前には近づかねえ」
彼がそう言うと、女性は反論せず、静かに受け入れた。
彼女と目が合ったので、あなたも深呼吸をしたあとに口を開く。
「セロさんとナザルさんにも、もう酷いことはしないでくれますか?」
そう問うと、二人とも驚いた様子だった。
だがそれは、あなたにとって今一番大事なことだ。
彼女は怒り出すこともなく、瞳を無意識に揺らしたあと、こくりと頷いた。
「あなたがそう望むのならば。……彼らにもう手出しはしません」
「……よかった。お願いします」
そうはっきりと告げると、彼女は胸に手をあてて頭をさげた。
そしてその場にひざまずく。あなたのことをどこか信奉するような、追いすがるような眼差しで見上げた。
「あ、あの⋯⋯あなたの名前を教えてもらえますか」
「私はデシエと申します。守護者さまに仕える者です」
彼女の名を知り、そのなぜだか敬虔で正直な姿勢から、あなたは瞳を逸らせなくなる。
ナザルの腕にしっかりと絡ませたまま、話を続けた。