第22章 新たな一歩編
朗らかな公園の空気が一変するほど、その場は緊迫していた。
紫髪の女が目の前まで来ると、セロとナザルはきつく睨みつける。
二人はあなたの前に立ち、魔術師がそれ以上近づけないようにした。
「てんめえ……ここで何してやがる!」
「私は彼女に用があるの。どいて」
「……どくわけねえだろ、何が目的だよ。先に言え」
セロより冷静なナザルだが、獣の彼は明らかに殺気立っていた。
あなたは二人の背に隠れて、おそるおそる女性を見やる。
すると彼女は、にこっと控えめに微笑んだ。
あのお手洗いで出会ったときのような優しい面影だ。
「あ、あの、二人とも。落ち着いてください。危険なことはされませんよね…?」
「するに決まってんだろ! こいつの目を見るんじゃねえ! 炎で焼かれるぞ!」
「ええっ!?」
とんでもないことを言われ慄くが、女性は冷たい瞳をセロに向けた。
「あなた、役目を忘れたの? あの御方を裏切ったのね」
そう言って彼に一歩ずつ近寄っていく。
自分よりも背の高いヒールの女に見下ろされ、セロはぐぐっと唸った。
だが彼の瞳には以前と違う力が宿っている。
「俺は最初からお前らの仲間じゃねえッ。……いいか、こいつに手出したら、俺らが許さねえからな……あいつの貴重な信頼を、こんなところで奪われてたまるかッ!」
心のこもった吐きだしに、ナザルも頷く。
彼は戦闘態勢のまま、茶色の瞳を鋭くして女を見下ろした。
「そうだよ……俺とセロはもうお前らの言いなりじゃねえ。今は仲間がいるんだ。……それにな、ルドガーは俺らよりもっとやべえぞ? お前殺されるぞ」
獣の彼はルドガーの力を認め、身震いをしながら挑戦的に笑った。
黒ドレスの女の瞳が、初めてぴくりと反応する。
そして彼女は、あなたをまっすぐに見つめた。
まるで小動物を目に映すように、怖がらせないよう少しずつ眼差しを柔らかくして。
「さん……」
セロが「来るな!」と叫ぶ。
あなたも身構えたが、彼女は守護者に繋がる唯一の人物だ。
困惑していると、一瞬セロに苛立った女は彼を見据えた。
「邪魔をするな。お前⋯⋯また底なし沼に落とされたいのか」
どこから出したのか、低い唸り声みたいなものを可憐な口元から聞き、怖気が走る。