第20章 任務編
任務に無事合格し、四人は騎士団領内に帰ってきた。
夕暮れで人がいない休日の敷地を、あなたとルドガーは手を繋いで歩いている。
前にはセロとナザルが並んでいて、皆緩やかな雰囲気だ。
「ねえねえ、今度皆で合格お祝いパーティーしましょうよ、乾杯なんかしちゃったりして」
「おおいいねぇ、飲んで騒ごうぜ〜これから俺等はやつらの奴隷として働かされるんだからな、最後の無礼講だよ」
「ちょっとセロさん? さっきまで喜んでたじゃないですか、もう嫌になったんですか」
怪訝に突っ込むと、「それとこれとは別」と言われてしまった。
ゼイランが所有する魔術師団に入るのは、魔界の魔術師にとっても栄誉の道であるらしいが、やはりプレッシャーもすごいのだろうか。
「、乾杯はいいがお前はまだ18だからジュースだぞ」
「そうなの? 魔界も結構厳しいんだねぇ。でもルドガーも乾杯する?」
「ああ、あんまり意味ないけどな。お前と一緒なら楽しいだろう」
どういう意味だろう。彼は飲んでもまったく酔わないし、酒は獣に毒だと言っていたが。
後ろで二人で話していると、セロが隣のナザルにこんな事を言った。
「ナザル、お前は飲食しねえから、なんか俺が特別にほしいもんやるよ。何がいい? 女以外な、俺魔界ではモテねえから」
微妙に悲しいことを言いながらも、セロは上機嫌な顔つきだった。
ナザルが飲食ができないのは、彼が半実体の幻獣だからだ。
ナザルは、ふと立ち止まる。セロをじっと見下ろしていた。
皆も彼に注目していると、やがて口を開いた。
「じゃあセロ、獣化した俺の体を洗ってくれねえか」
「⋯⋯⋯⋯えっ?」
セロは間の抜けた声を出し、固まっている。
「お、俺がお前の体を⋯⋯マジで言ってんのか?」
「おう」
「あっそう⋯⋯」
セロは瞬きをして挙動不審になっていたが、やがて真剣な顔に変わり、うんうんと頷き始めた。
「おし分かった! なんかよく分からんが、お前もこの主の俺に世話をしてもらいたいターンなんだな、いいぜいいぜ! 任せとけ!」
男気のあるセロは、かなり上の位置にあるナザルの肩に、無理やり手を引っ掛けて抱き寄せる。
ちらりと見えたナザルの横顔は、少し笑いをこらえた様子だった。