第20章 任務編
皆が引きつった顔で見ていると、コウモリは毛づくろいを始めた。
あなたの手の上でくつろいでいるようだ。
「今だ、殺すぞ」
「……だ、だめ、ルドガー」
剣に手をかけて機をうかがっている彼を、あなたは必死に制止する。
全員が汗をじっとりと感じていた。
「おいおい……そんなもん懐かせてもデメリットしかねえぞ、捨ててこい…慎重にな…」
「でもこの子、噛む様子ないですよ。大丈夫みたい」
だんだん害獣には見えず、あなたは心を落ち着かせて毛づくろいが終わるのを待った。
するとコウモリは自分から羽ばたき、またあなたの肩に戻った。
「この野郎ッ」
ルドガーは憤慨し気が荒立っていたが、コウモリはその後、羽を広げて問題の扉に向かっていった。
そしてなんと、石を通り抜けて消えた。
「…………えっ? なに今の。……もしかして、あのコウモリも、幻獣ってやつ……?」
あなたがナザルを見やると、彼も眉間にしわをよせ、首を傾げた。
ナザルは自分を黒い煙のような気体に変えて、物体を通り抜けたりできるのだ。
「ナザル、お前もやってみるか?」
セロがわざとらしく優しい声で尋ねると、ナザルは「おう」と了承した。
でも危険はないのだろうか。
心配したあなたの近くには、ルドガーがいつの間にかそばにいた。
「大丈夫か。よく見せてみろ」
彼に肩や手のひら、肌が出ている部分を入念に調べられる。
何も異常はないと分かると、問答無用で抱きしめられた。
彼の心音のほうが速くなっていた。