第20章 任務編
あなたはルドガーの血に染まった顔を、自分で作った水で拭いてあげた。
彼の体力は有り余ってるらしく、それから意を決して、皆で遺跡の奥に進んでいく。
広場には無残にバラバラになった死骸が置いてあったらしいが、そこだけ彼に抱き上げられ、あなたは目をつぶって移動するという気の使われようだ。
「着いたぞ。セロ、何か分かるか」
「……これは……明らかにヤべえ呪符だな。禍々しい魔力が練りこまれてやがる……」
植物のツタが絡む大きな石扉の周囲を、おびただしい数の札が取り囲んでいた。
「でもなんか……この古代文字の形が不自然なんだよな……」
「へえ? ただの紙じゃねえか。呪いとかバカバカしいだろ」
そう言ってナザルはピッと剥がして丸めて捨てた。
他の三人が唖然として見やる。
「なにやってんだ馬鹿野郎ッ、今から建物の均衡が崩れて崩落でもしたらどうすんだよ! 無知な獣のせいでな!」
「えええ、怖いよルドガー!」
「落ち着け、お前は俺が守る! ここからすぐに脱出するぞ!」
騒ぎ出す者達をナザルは白けた顔で眺める。
現に何も起こらなかった。
訝しんだセロだが、札をもう一度調べてるうちに、唸り始めた。
「……いやマジでこれ偽物かもな。見てみろよ、このインクの色褪せ具合、なんか嘘っぽいんだよな。ナザル、骨とう品の盗品をたくさん見てきた俺達からすると――」
「見てきたというより盗んできただろ。……でも確かにこれ、なんか見た目が新しくね?」
二人の審美眼のおかげで、これはきっとミザロが仕掛けた罠だという結論に至った。
「はっ馬鹿が! 俺達の目を欺けると思うなよ青白クマ野郎!」
「ちょ、言いすぎですよセロさん。聞こえてたらどうするんですか」
「あいつは俺達を監視魔法で見張っているはずだ」
「うそっ。……あー今のはつい素が出ちゃっただけですから! 多めに見てくださいね!」
ナザルが皆の芝居に飽きてあくびをしていると、背後から何かを感じた。
振り向くとひときわ大きな吸血獣が、あなたに近づき狙っているのが分かった。