第19章 特訓編
「痛えッ。⋯⋯ちょ、ちょっと、マジ顔すんなよ、こいつらの青春に感化されたのかっ? 俺達はこういうやつらを冷笑しながら、裏で豪遊するタイプだっただろ!」
セロは仲間を失ったかのようなショックを受けている。
だがナザルは、言葉がすんなりと出てこなかった。
彼はルドガーのように素直な獣ではない。そうするには、いささか長く生きている。
するとセロは、だんだんと微妙な空気を感じ取り、自分から力強いナザルの腕を外した。
そうして彼の肩を、わざとらしくぽんぽんと叩く。
「わかったよ。なんかよく分からんが、お前もあのいけ好かない魔術師団に入りたいんだよな。箔もつくしな。⋯⋯よしわかった、やってやるか! お前の足手まといにはなるべくならないから、助けてくれよ!」
兄貴分のように言うが台詞は弱々しい。
だが遠くで見ていたあなた達よりも、ナザルはもっと瞳を揺らし、主のことを見上げた。
やる気を見せて屈伸するセロに続き、彼も立ち上がる。
「へっしょうがねえな、じゃあ俺の体術をお前にも叩き込んでやるよ。あんま時間はねえけど、そのほうがお前には合ってるだろ、お前集中力ねえもんな」
「運動にはな。魔術の研究だけはお手のもんよ、お前も知ってんだろう」
小競り合いをしながら二人があなた達の輪に加わる。
あなたは感動で目が潤み、思わず拍手をした。
「嬉しい〜! ねえ今の見たルドガー? 何があったんだろう二人に、一緒に訓練するんだって!」
「ああ、うるさい奴らが入ってきたな」
そう答えたルドガーの眼差しは、彼にしては柔らかなものだった。