第19章 特訓編
翌日の休日には、さらに驚くべきことが起こる。
昼からあなたがルドガーと汗を流していると、ナザルが床にあぐらをかいて見学していたのだ。
いつも軟派な彼にしては、じっと考え込んだふうに見てくる。
凛々しく硬質な茶色の角にふさわしく、まるで五感を研ぎ澄まして、集中しているように。
するとしばらくして、パーカー姿のセロが現れた。
周りには剣を合わせる騎士達がいたが、中肉中背のセロは分厚い本を抱えている。
「おー、まじでこんなめんどい事やってんのかお前ら。おい、俺のおすすめの魔術書貸してやるよ。読み込んどけ」
「えっほんとですかっ? ありがとうございますセロさん!」
思わぬ差し入れを受けて、あなたは休憩し笑顔を向ける。
するとセロもナザルの隣に座った。
バナナを食べながら冷やかしのように見物するつもりのようだ。
「なあセロ。お前もやれ」
「⋯⋯はっ? 何言い出すんだお前。やれって何をだよ」
「訓練だよ」
じっと隣から赤髪のマッチョに促されたセロは、口を引きつらせる。
「おい、俺もう28だぞ。今更訓練しても遅えよ。⋯つうかなんだお前、びびってんのか? 大丈夫だって! 今度の任務、お前とルドガーがいるんだぞ? すでに合格決定だろ!」
かかか!と愉快そうに笑うセロに、あなたはナザルの反応を恐れた。
しかし彼はすぐに、他力本願な主に切れなかった。
セロの上腕をぐっと掴み、茶色の瞳が見据えている。