第2章 訪問客編
もうひとつ重要なことだが、ここは彼の本当の家ではないと教えられた。
仕事のために駐在する小屋で、短期的なサイクルで軍人が交代し、森の治安を守っているのだという。
「そうなんだ⋯⋯完全に仕事中だったんだね。それなのに私、ここに居座っちゃって⋯⋯」
「俺が拾ったんだから、俺の責任だ」
当然のように言ってくれる彼に感謝するものの、疑問は残ったままだ。
きっと自分のことを聞いても、あの虎獣人の隊長と同じく分からないだろうと思い、あなたは黙っていた。
ただでさえ感情が治まってない今の彼に、たたみかけることはしたくなかった。
「、上に行こう。ここは冷える」
「うん」
歩けるのに丁寧に横抱きにされて、地下から一階の居間へ運ばれた。
ルドガーは暖炉に薪を焚べ、あなたに毛布をかけて温めてくれる。
ホットミルクまで渡されて、静かに口をつけた。
彼は黙々と散らかった酒瓶の食卓を片付けている。
自分がやると言ったが断られてしまった。
まだ今日の顛末を気にしているようだ。
「あのね。隊長のセヴァさんは親切にしてくれたよ。他の大きな声の獣人さんたちからも守ってくれてさ。ルドガーのこともよく知ってるみたいだった」
気を紛らわせようと話題を振ると、彼はムッとした顔で振り向いた。
「親切だと? あんな檻に入れてか。お前を解放してすぐに帰るべきだろう。あいつらはこの俺より粗暴な連中だ!」
強く憤る彼を見て、あなたは動揺しハラハラする。
「でも、ここまで来て祝おうとしてくれたんだよ、仲間思いじゃないかな。それに皆騒ぐから私が隠れただけで――」
そう伝えるが、彼はあなたが彼らをかばうことが理解できない様子だ。
ルドガーは次第に弱々しい表情になっていく。