第18章 選んだ道
応接間の中央に置かれた一人がけのソファに腰かけ、団長キリングは静かに全員を見据えていた。
薄灰色の制服をきっちりと着込み、あいかわらずにこりともしない端正な顔立ちをしている。
「今日ここに集まってもらったのは、俺とミザロから、皆へのこれまでの評価と今後について話をしたいからだ」
そんなことを言われ、あなた達の間に驚きと緊張が広がった。
「まず、ルドガー。最近のお前の勤務態度は、著しく改善されている。無論まだ完璧ではないが、お前の努力は認めよう。この調子で頑張ってくれ」
「あ⋯⋯ああ。わかった。精進しよう」
ルドガーは優しすぎるほどの団長の台詞に戸惑いを浮かべつつ、手応えを感じて頷いた。
そして団長は、そのままあなたへ視線を移した。
鋭い眼差しに思わず背筋が伸びる。
「そして、」
「は、はい団長!」
「そう身構えなくていい。率直に言おう。君の貢献は、この団にとって計り知れないものだ。上層部からも特別報奨が出ている。遠慮なく受け取ってくれ」
そんなふうに褒められたのは初めてだったため放心した。
ルドガーはあなたの手を握り、自分のことのように嬉しそうな顔をしている。
それを見て、現実なのだと実感した。
「わあ⋯⋯あの、本当に嬉しいんですけど、そんなに大したことしてないというか。ルドガーを少しでも助けたかっただけですし。頑張ったのは彼ですから」
「君達二人ともだ。そして君なしではここまでの変化はなかった。⋯⋯そこでな、俺は君に、正式に騎士団の職員になってほしいと考えていたんだが――」
まさかの団長の勧誘に、言葉を失う。
ここは女人禁制の騎士団だが、彼らとの円滑な連携のため事務職としてぜひ採用したいという話らしい。
けれどキリングは、話の途中で向かい側にあるソファ席に目を向けた。
静かに佇む黒ローブの魔術師ミザロである。
彼は今日、お疲れなのか青白い肌の目元のクマが深かった。
「ふふ。さんはあなたには渡しませんよ。彼女はルラ・パルセ魔術師団に入ってもらいますから」
「⋯⋯えぇっ! そうなんですか師匠!」
彼はあなたに向かって、にこりと受容的な笑みで頷く。
とんでもないことになってきた。
つまり団長と魔術師長のミザロから、あなたは取り合いされてるのだ。