第18章 選んだ道
もうすっかり緊張感を失った人間2人と獣2人の組み合わせだ。
この中ではお喋りなほうではないルドガーが、突然セロのほうを向いた。
「おい。この前の話だが、お前と正式に契約をしよう。お前の作ったお湯は素晴らしかった。ありがとうな、セロ。おかげでとゆっくり楽しむことができた。貴重な時間だ」
黒角の生えた褐色肌の屈強な男が、素直にお礼を言い出したので全員がざわつく。
とくに後ずさっておののいたのはセロである。
「あっ? いきなりどうしたお前、こええんだけど。もしかしてなんか裏があんのか? いやお前は表しかねえか」
一人で突っ込む間もルドガーは精悍な顔立ちを変えない。普通に褒めただけだからだ。
「本心を述べただけだ。金は本来かかるはずだった12000フロン払おう。お前は腕がある魔術師だからな」
そこまで言うと、セロは一瞬言葉に詰まった。他人に真正面から認められるのは、彼にはとてもめずらしいことだった。
「お前っ⋯⋯! 素直ないい奴じゃねえかよ! 気に入ったぜ、しょうがねえ、知り合いからダチ一歩手前ぐらいに来た仲だからな、特別に10000フロンにしてやるよ!」
「本来それが適正じゃねえのかセロ」
「うるせえお前は黙っとけ!」
厳しくたしなめ、完全にセロは浮かれていた。あなたもルドガーも、穏やかな笑みでそれを眺めている。