第10章 事件編
騎士団が守護する都市ルラ・パルセの中心街に到着すると、皆ばらばらで行動を始めた。
騎士ターシャは若者らしい軽装にリュックを背負い、普段通りのルートを歩いていく。
後方にいるあなたとルドガーは手を繋ぎ、人々でにぎわう商店街を進んでいた。
「、俺から離れるなよ」
「うん! でもルドガー、手の力ちょっと強いよ。もう少し優しくして」
「えっ? 悪い。きつかったか」
彼は険しかった顔つきから一瞬、鎧が取れたように素で驚いた。
そしてあなたの手をそっと握り直し、優しく笑む。
ルドガーも少し緊張しているようだ。
標的を気にしながらも、隣の小柄なあなたを見やった。
「……今日はずいぶん可愛い格好しているな」
「気づいた? まさかこのコートとブーツ、任務で着ると思わなかったよ。あなたの服も決まってて素敵だね、いつもの制服姿も格好いいけど」
今日の彼は革の上着とシャツを着ていて大人っぽく、ドキドキする。
にこりと笑って褒めると、彼はなぜか瞳をそらして鼻を触った。
「ありがとな。……ああ、お前がいるとやっぱり任務に集中ができん」
「えぇっ、どうしてよ! 頑張ってるのに〜」
「デートとかいう私情を挟みやすい状況だからだ。……くそっ、これが終わったら本当のデートをお前とするからな。覚えておけよ、」
あなたはまさか彼にそんな甘いことを今言われると思わず、頬を赤らめたのだった。
だがそんなときに、魔石が紫色に点滅して光り始めた。
「ルドガー、師匠だ!」
「ああ、出ろ。あいつもちょうど露天商の前で立ち止まってる」
騎士ターシャが白いテント前でしゃがみこみ、店主に靴を勧められているようだ。
「――もしもし、どうしましたか」
『半径50メートル以内に魔術師が三人います。あなた達の付近と向かいの洋服屋、奥にある本屋です』
「わ、わかりました。注意します!」
簡潔な報告を受け、ルドガーに伝える。
通話魔石は魔力がないとかけることが出来ないが、受け取るほうは誰でも可能なのだ。