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巨体の人外に助けられて世話される話

第10章 事件編


騎士団の館内放送部から、大きな怒号が響き渡る。

『ちょ、ちょっと、落ち着いてくださいよ! いきなりなんなんですか!』
『黙れ、魔石を貸せ! ――、どこにいる!? 何かあったのか! なぜ部屋に帰っていない、早く戻ってこい!!』

それは完全にルドガーの怒鳴り声で、あなたはゆっくりと皆を見る。

「な、なに今の。どうしたの? ……あっ、やばい夕飯の支度忘れてた! ルドガー、もう帰ってきたのっ?」

ミザロは興がそがれたように呆れた様子で「彼は本部の放送室にいるんでしょう」と教えてくれた。

ジュリスは緊張がほどけたように苦笑いしている。

『いいか騎士ども、俺の番を見かけたらすぐに報告しろ! どんな些細な変化でもいい、知っている者はここに来いッ!!』

彼がそう叫んで魔石を担当者に投げつける音まで聞こえた。
あなたは汗が止まらず、赤面して縮こまる。

「はは、あとで謝りに行かないと……ルドガーも心配してくれてるんだ、ごめん…」

するとジュリスが「俺が行こう」と名乗り出てくれた。

「彼らしいね。迎えに行ってくるから、ターシャをよろしく頼む」
「いいんですか、ありがとうございます!」
「よかったです。ではさん、私たちはここにいましょう」
「はい!」

師に言われ、やがて部屋に二人きりになった。

するとミザロは、あなたに向かって愉しそうな笑みを浮かべる。

「やっとチャンスが巡ってきましたね」
「えっ…? まさか師匠、やっぱり記憶を読むとか言いませんよね…?」
「言いませんよ。私は同僚との約束は守りますから」

嘘か真か、彼は微笑みを絶やさず、しかしこんなことを言い出す。

「さあ、あなたがやるんです。いい練習台になりますよ。どうぞ」
「……はっ? な、なに言ってるんですか! 出来るわけないでしょう!」

血の気が引き、両手を振って拒否するも、ミザロの青く濁った目は本気だった。
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