第10章 事件編
「なるほど、つまりその守護者というキーパーソンが、今日こうして初めて直接的に接触を試みてきたというわけか……」
「そうみたいですね。あなたの部下を見ると、魔術師に操られている状態なのは間違いないです」
二人のタイプの違う男は、手を後ろに回し、椅子にくくりつけられている若騎士を見下ろす。
「あのう、なのでこの人は被害者なんですよ。縛ることまでしなくていいんじゃ……」
「いや。念のためさ。彼は新米の騎士でね。純朴で熱心ないいやつだ。今日は剣の手合わせも真面目に行っていた。……そんな奴を、魔術師は領内に入り込んでターゲットに定めたんだろう。今は意識がないし、何をするかわからない」
ミザロも頷いた。あなたは重大さをひしひしと感じ、申し訳なさがつのる。
「とはいえ、私の見立てでは、その魔術師は大した使い手ではなさそうです。さん、自分で魔術師だと明かしたんですよね?」
「はい……そう言ってましたね。あと時間がもたないとも…」
あなたが伝えると、師であるミザロは相手を小馬鹿にするように笑った。
「こちらをおちょくっているのか、素で下手な小物なのか分かりませんが、これは我々に対する挑戦ですよ。ルラ・パルセ魔術師団への」
「ああ。これは我らがゼイラン公爵領騎士団への挑発とも受け取れる。もう君達だけの問題ではないよ、」
「は、はあ」
あなたがプロの二人の前で大人しく様子を伺っていると、事態は進んでいく。
ひとまず彼らが出した結論は、この若い騎士を起こし、尋問するということだった。
すごく怖そうな言葉である。