第9章 お世話編
そのあとの診察も滞りなく終わる。
体に異常はなく、筋力も戻り完全な健康体だ。
「先生、私ってまだ人間のままですかね?」
あなたが真面目にそう尋ねると、医術師は穏やかに苦笑した。
「そうだよ、君はちゃんとした人間だ。……魔族というのはね、肉体からして強靭で、人間の体とはかなりかけ離れているんだ。我々はたとえば一週間近く飲食をしなくても生きていられる。そして精神的にも道徳的にも、人間の柔らかな心とは少し異なるものがあるのさ」
ふむふむ、とあなたは素直に聞き入る。
若干がっかりしたのは事実だけれど、自分の体が前より強くなったことは明らかなようだった。
ルドガーはそんなあなたの気持ちを知ってか知らずか、優しげな笑みを浮かべている。
「先生、は今すごく元気なんだ。どうしてそんなに魔族になりたいのかは知らないが」
「ちょっと、なんで笑うのよ。だって魔族になったら皆と肩を並べられるし、もっと可能性が生まれるでしょう?」
一生懸命主張するも、彼は大人びた顔で「そうだな」と笑った。
なんだか子供のようにあしらわれた気がするが、ルドガーの興味も尽きたわけじゃない。
彼は再び魔力量について医術師に尋ねた。
一連の出来事の核心である。