第9章 お世話編
その日は朝早く起きて、久々に自分で身支度をした。
彼にはまだ休んでいろと言われたが、二人のご飯まで用意できることが嬉しかった。
ルドガーは今日から休暇が終わり、さっそく出勤なのだ。
濃色の制服に着替えたが、すぐには出かけない。
もうすぐフォロ医師が来てくれるためだった。
「私が動いてるの見たら、びっくりするかな? ふふふっ」
「するだろう。それにお前の魔力だ、すごいことになってるぞ」
「ええっ、またあ!?」
あなたは大興奮して、体中からエネルギーがあふれるのを感じた。
医師が来る前に、一人でバルコニーに出てみる。
まだ冬の薄暗がりの朝だが、キラキラと霧の一粒一粒が輝いて見えた。
それに、遠くも以前より見渡せている。
黒い鳥が数羽駆け回るのも微笑ましく思い、やけに空気が澄んでるように感じた。
「ああ~こんなに魔界の空気って美味しかったっけ。瘴気って素晴らしいんだなぁ」
自分でもその台詞に若干違和感を覚えつつ、まあいいやと思いながら室内に入った。
するとちょうど、フォロ医師が到着していた。
彼は朝早くにも関わらず、いつもと同じく若々しい体躯を白衣に包み、溌剌としていた。
あなたを見て一瞬目を丸くしたが、手をあげて微笑んでくれる。
「先生! 来てくれてありがとうございます」
「おはようさん。驚いたよ、すっかりパワーがみなぎってるね」
「そうなんです! なんだか目に映るものがすべて新しく見えて、生まれ変わったみたいに!」
すると彼は優しい顔つきで、あなたをじっと興味深そうに見つめた。
「うん……そうか。素晴らしいことだよ。二人には私からもよく頑張った、おめでとうと伝えたい」
彼がそう言ってくれて、そばであなたを見守るように立っていたルドガーと一緒に、もう一度喜びを浮かべた。