第9章 お世話編
「とにかく、まずさんの体を診てみよう。もっと詳しく探ってみるからね」
「あっ……先生、あのう。今の話を踏まえて、出来れば何か見てもスルーしてもらえますか? 少し恥ずかしいので」
「えっ? ああ、わかった。そうしようね」
よく分かっていない感じの医師だったが、ひとまずあなたに対してそう約束してくれた。
これまでの真面目な話題よりも、あなたには強く気にしていたことがあった。
ベッドに横になり、いつもどおり服をはだけさせて現れたのは、昨日ルドガーが肌に散らした赤いマークだ。
見ればびっくりするほど、色んなところに目立っている。
本来なら彼の愛情の表れだなと思って嬉しくも思う。
けれど今回はタイミングが悪すぎた。
検査中も必死に羞恥に耐えていたが、フォロはまったく動じずに普通に診察していた。
近くに立って真剣に見守るルドガーも同じだ。
この2人の精神力どうなってるんだろう。
そう思いながら、あなたは視線を別の場所にやってなんとかやり過ごした。
「先生、どうだ? 何か俺由来のものがわかったか?」
「いや……とくに判別できないな。だが、魔力が明らかに増大したのは間違いない。そこでだ。君たちにひとつお願いがある。確認をしたいから、試しに3日間、何もしないでいてもらえるかい?」
若い2人の注目が、逞しい老齢の医師に注がれる。
「――なっ、なんだと? 先生、3日も我慢しろというのか? 俺の休暇はあと3日なのに…!」
「ちょ、ちょっとルドガー、恥ずかしいでしょう。それでフォロ先生、体に変化がないか調べるってことですか?」
医術師は穏やかに頷いた。
「そうだね。その間きちんと回復の度合いと魔力量を測定して見てみよう。大丈夫、君達の頑張りはもうすぐ身を結ぶはずだ。あと少しだよ、二人とも」
医術師からエールを送られ、嬉しさの他にも妙な照れがあったけれど、きっと彼の言う通りだ。
あなたとルドガーの一連の愛と戦いの記録は、終わりに近づいていた。