第9章 お世話編
この2週間、症状はゆっくりと悪化した。
だが昨日の最悪の状態から、たった1日夜が明けただけで、体の中央から四肢の半分まで良くなるとは。
「すごいなぁ、治る時は早いのかな。ねえルドガー」
「絶対そうだ。……ふっ、こうしてお前に服を着せるのももう終わりか。さみしくなるな」
「気が早いってば。そんなにすぐ全快しないでしょ」
軽口を叩き合うが、二人とも喜びを隠せず笑みを浮かべている。
そんな2人でもけっして能天気に過ごしてるわけではなく、頭の中は共通した考えが浮かんでいた。
彼が朝ごはんを用意してくれて、まだゆっくりと食べさせてもらってるとき。
「思ったんだが……まさか俺の、アレか?」
「あ、アレって……なによ?」
「とぼけるなよ。お前も分かっているだろう。昨日はいつもより控えめだったが、量はすごい大量に――」
「わあぁぁっ、食事中だよ、はっきり言わないでっ」
昨夜のことを思い出し、赤面してわめくと、ルドガーは「すまん」と男らしく謝っていた。
「えっ。ちょっと待って。あなたのアレが影響してるかもってことは、魔力が増えてるの?」
「そうだ。回復に繋がるって先生も言ってただろう? それにな……俺は初めてお前から確かな魔力を感じている」
確信的に告げられ、あなたは大きく目を見張らせた。
「本当!?」
「ああ。そこまで多くはないが、今までのゼロからは大違いだ。お前のことを、魔力のある人間として認識できる」
あなたは感動により言葉を失った。
彼にもわかるぐらい、自分の体に変化があったのだと。
「へへ、嬉しいな。私、本当に魔術師になれるかな」
「それはまだまだだな。あいつらの量は異常だ。お前はまだヒヨコレベルだ」
「ええ〜。それも可愛いね」
満足していると、隣に座るルドガーがじっと見てくる。
「どうしてそんなに魔法を使いたいんだ? 俺にも教えろ」
子どものように拗ねた顔で尋ねられたため、あなたはいたずらっぽく「まだ秘密だよ」と答えておいた。