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巨体の人外に助けられて世話される話

第9章 お世話編


「ですよね……でしたらその、看護師さんを呼び戻したりできます? 私のような者があなたの手を煩わせて申し訳ないと…」
「はあ、まったく。お前は話が長いんだよ」

誰がだと思い顔を上げると、目の前に彼の胸板が迫っていた。
気づけばあなたの寝間着の体は横抱きにされ、部屋の中を軽々と移動する。

「あ、ありがとうございます……!」
「よく聞けよ。俺はな、他人にこんなことをしたことはないんだ」

感動しながら、彼の上質なジャケットを汚さないように、なるべく体を浮かして小さくなった。
ちなみに胸元からは、ものすごく良い香りがした。

トイレの個室に座らせてもらい、扉を閉めて事を済ませる。

あなたはしばらく考えていた。
ルドガーに「ゼイラン様がトイレに連れて行ってくれたよ」と教えたら、どんな顔をするだろう。

少し誇らしい気持ちで想像して、小さく笑ってしまった。

するといきなりドアが開き、すらりと長身の彼が見下ろしてくる。

「早いですよ! ルドガーみたいなことしないでください!」
「男はそんなもんだろ」

そう言ってゼイランは、帰りも親切にあなたをソファへ送り届けてくれた。

一気に警戒心がとけ、あなたは体を横にしたままにこにこと彼と話す。

「ルドガー、今日も大丈夫ですかね? きっと勝ちますよね? 強いんだから」
「安心しろ。ここ数年で命を張るような強敵は出現していない。今日も問題ないさ」

普通の会話もしてくれるし、答えに安心して相槌を打っていると。

ゼイランはふっとした笑みを浮かべた。

「、お前はルドガーに少し似ているな」
「えぇ!? どこがですか?」
「時々俺を子どものような目で見つめてくる。……まあお前らは実際ガキだけどな」

一人で納得をされ、少し不思議に思った。

でも彼はそんな二人を受け入れてくれてるような面持ちだったため、あなたもなんだか心がほっとしたのだった。

もっと驚いたのは、それからのゼイランの行動だ。

「仕方ない。そろそろあいつを呼んでやるよ」
「あっどうも、助かります!」

看護師さんだと思ったら、彼は居間で立ち上がり、開けた空間へ向けて手を前方に突き出した。

聞きなれぬ言語の呪文を唱え、あたりに銀と青まじりの光の渦が生まれる。

その荘厳な光景に、目が奪われた。
渦が急速に中央へ吸い込まれ、中から突然あるものが現れた。
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