第9章 お世話編
ルドガーが任務へ向かったあと、本当に騎士団医療部から看護師の人が来てくれた。
彼はフォロ医師のアシスタントの一人で、すごく親切に接してくれる。
「私は別室にいますから、何かあったら声をかけてくださいね」
「はい、ありがとうございます」
ここには寝室の他にも部屋があり、そこで待機をするのだという。
過ごしやすいように配慮がなされ、とてもありがたかった。
夜も遅くなってきて、気分が和らぐようにとお茶まで用意してくれる。
あなたはもうひとつ、就寝の準備をする看護師の男性にあるお願いをした。
「あの、リビングで寝ててもいいですか? そのほうが落ち着くかもしれなくて」
「ええ、もちろんですよ。今布団を持ってきますね」
線の細い白の作業衣の男性が、にこりと笑って頼みを聞いてくれた。
ソファに横になり、バルコニーのカーテンを少し開けて、風景が見えるようにしてくれる。
「何から何まで、ありがとうございます。夜間もすみません」
「大丈夫ですよ、気にしないで。近くにいますからね、いつでも声かけてください」
そんな温かい声をかけてもらい、人の優しさがしみていく。
仕事なのは分かっているが、魔界で会った人は、思えば皆優しいのだ。
自分は守られているからかもしれないけれど、彼らの真心は確かに日々感じていた。
薄暗い部屋で一人横たわり、窓の上のほうに輝く二つの赤い月を見上げる。
体はいつまでこのままなのだろう。
本当に、いつか治るのだろうか。
数日ごとの診察では、先生に魔力は少しずつだが確実に増えていると言われていた。
今はそれを信じて、辛抱するしかない。
「ルドガーも毎日頑張ってるし、私も頑張るんだ……」
うとうとしながら、いつの間にか瞳を閉じていた。